吉沢久子さんがこの本を書かれたのは、95歳の時。
東京生まれの江戸っ子で家事評論家、随筆家の方です。
年を重ねるのことはおもしろいですか?
YESでもありNOでもあります。
わたし自身は、仕事を20代や30代の頃より楽しくやれているので年を重ねるのはいいかもと思えてきてはいますが、美容や健康のこと、住まいのこと、お金のことなど心配ごとは尽きず、おもしろいと言える領域にはなっていません。
とことん自由を楽しんで、「さようならぁー」と笑ってこの世をおさらばするのが目標という吉沢さんから学びたいと思います。
人生90年も生きていれば不自由もあり、耳が遠くなったり、目が見えにくくなり、歯は悪くなります。それを前向きに受け入れ、体の衰えに合わせて暮らし方を工夫。
吉沢さんはそれを「おとろえに対する自己防衛の工夫」と言われています。
土台は食事!食事だけはいいかげんに考えてはいけない。
吉沢さんが長年、健康でいられたのも食事に気をつけていたから。
便利な世の中、外を歩けばコンビニ、ファストフード店で手軽に食品が手に入り、忙しい日々を送っていると食事を簡単に済ませがちになります。
ましてひとりでの食事になるとつい手を抜いてしまうのですよね。
吉沢さんは、一日の中で30品目など種類を多く取ることを心がけて来られたそう。
そして旬の食材からエネルギーをもらう食生活をされてきました。
30品目って中々取れないと思うのですが、一日のトータルの中で種類を多くと言われています。
食事の工夫。
そんな吉沢さん、家事の話しをする機会が多く、料理についてはおかずとなる副食のつくり方をたくさん覚えるように言われてきました。
具体的には、ひとつの材料につき、3種類の料理を覚えておくこと。
例えば豚肉ならトンカツ、酢豚、生姜焼き。また豚肉のどこを使えば美味しいのか、各部位によってさらに3種類覚えられるとより良いと。
また料理が楽しくなるコツとしてつくり置きを上手に活用しましょう。
上手な手抜きで丁寧な食事をしたいものです。
誰にでもある欲望も、最後は健康への欲望と、それを支える食欲だけになると言います。
健康だけは、生きるうえでの欲望として最優先にしたい。
わたしもそう思います。
人間関係を「貯蓄する」。
体の健康と共にこころの健康に影響するのが人間関係。
人生を豊かにするのはよい人間関係。やっぱりそうか。
老後を明るくしてくれるのが利害関係のない良い人間関係と言います。
ただ、あまりに年がいってから急にそんな人間関係を築こうと思ってもスムーズにはいかず、何か合ったら助けてもらおうという下心から付き合いを始めてもそんな人間関係はうまくいきません。
50代に入ったら仕事に関係のない利害関係のない人との人間関係を貯蓄していくことをすすめられています。
自分なりのモノとの付き合い方を持っておく。
年老いてくると体が思うように動かなくなることから、必要最低限のお皿の数にするなどモノを徹底的に排除したところ、今度は味気のないものになったそう。
モノを整理することは、自分の人生にとって何が大切かということを考える機会であると。
1年以上使っていないからと不要なモノを問答無用に処分するのではなく、数を減らしていく中でも「これだけはそばに置いておきたい」という自分なりのモノに対する価値観は捨ててはならないとアドバイスされています。
ミニマリストでない限りそこは、世間の風潮に流されず自分なりの心地よい物量とモノへの愛着をバランスをとりながら、モノに向き合いたいと思いました。
見た目を整える。
見た目に関しては、わたしは年相応のかっこよさは維持していきたいと思っているのですが、
吉沢さんがやられていたことで、取り入れてみたいことを紹介します。
・家のあちこちに鏡を置いて姿勢や表情をチェックし、程よい緊張感をもつ。
・1日のスタートを元気な顔で迎えるために口紅を塗る。
・明るい色の服を着て心をはずませる。
・人へのエチケットとして体や服を清潔に保つ。
伴侶亡きあとの生活も想定してみるのススメ。
年老いることも、つれあいといつかは別れることも決まっていること。
だからこそ、その時を淡々と迎えられるような生き方をすることが大事であり、終わりがあるからこそ暮らしを充実させようかと考える気になると言います。
元気な50代のうちにお互いひとりになってもみじめにならないように作戦を立てましょう。
肝心なのは、「縁起でもない」「まだ早い」などと先送りせずに現実のこととして、早めに話し合いをすることです。
うちは全くそんな話しができていないのでこれを機会に話せるようにしたいと思いました。
さいごに
吉沢さんは、2019年3月21日に101歳で亡くなられています。100歳近くまで執筆をされていて著書は多数。生涯現役で、働く女性の先駆け的存在だったのですね。
そして不思議なことに、図書館でたまたま手にとったこの本を読んでいるタイミングが、命日に近いとは全く知らず。吉沢さんのことを調べていて知ったのでした。
きっと何かわたしにメッセージをくださっているんだなとご縁を感じ、これを機会に他の本も読んでみたいと思いました。
投稿者プロフィール
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ファッションデザイナー
ユニフォーム、衣装、パンフレット、名刺などファッションから紙ものデザインまで多岐に渡る。
佐渡島の魅力を自分目線で記事に書いています。ファッション、アート、ものづくり、食に関すること、日々のことについて情報発信しています。詳しいプロフィールはこちら